高額療養費制度 医療費の自己負担は月いくらで止まるか
更新日:2026-10-11 文:koyo
入院や手術で医療費が高くなっても、1か月の自己負担には上限があります。年収別の上限額と、事前に準備しておくこと。
病院の窓口で払う医療費は、70歳未満なら原則3割です。入院や手術で医療費が100万円かかれば、窓口負担は30万円になります。ただし高額療養費制度があるため、1か月の自己負担は所得に応じた上限で止まり、超えた分は後から戻ってきます(または窓口で払わずに済みます)。
この上限額は2026年8月の診療分から引き上げられ、あわせて1年間の上限も新しくできました。
1か月の上限額(70歳未満・2026年8月から)
| 区分 | 目安の年収 | 1か月の上限 | 4回目以降 |
|---|---|---|---|
| ア | 年収約1,160万円〜 | 270,300円+(医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| イ | 年収約770万〜1,160万円 | 179,100円+(医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| ウ | 年収約370万〜770万円 | 85,800円+(医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| エ | 〜年収約370万円 | 61,500円 | 44,400円 |
| オ | 住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 |
区分は、会社員なら健康保険の標準報酬月額で決まります(ア:83万円以上、イ:53万〜79万円、ウ:28万〜50万円、エ:26万円以下)。年収はおよその目安です。直近12か月で上限に達した月が3回以上あると、4回目からは「4回目以降」の額に下がります(多数回該当)。
たとえば年収500万円(区分ウ)の人が1か月に医療費100万円の治療を受けた場合、窓口負担は30万円ですが、自己負担の上限は85,800円+(100万円−286,000円)×1%=92,940円です。差額の約207,060円は高額療養費として支給されます。
2026年8月の改正で変わったこと
| 区分 | 2026年7月まで | 2026年8月から | 年間の上限(新設) |
|---|---|---|---|
| ア | 252,600円+1% | 270,300円+1% | 1,680,000円 |
| イ | 167,400円+1% | 179,100円+1% | 1,110,000円 |
| ウ | 80,100円+1% | 85,800円+1% | 530,000円 |
| エ | 57,600円 | 61,500円 | 530,000円 |
| オ | 35,400円 | 36,900円 | 290,000円 |
1か月の上限は、区分オの1,500円から区分アの1万7,700円まで、すべての区分で上がりました。一方で、多数回該当の額は据え置かれ、新たに8月から翌年7月までの1年間の上限ができています。長く治療が続く人にとっては、年間の上限で負担が抑えられる仕組みです。年間の上限を超えた分の払い戻しは、2027年8月から受け付けが始まります。
2027年8月からは、所得の区分を5つから13に細かく分ける見直しも予定されています。
事前にしておきたいこと
マイナ保険証で受診すると、窓口での支払いが最初から上限額までで済みます。マイナ保険証を使わず資格確認書で受診する場合は、加入している健康保険に「限度額適用認定証」を申請して窓口に出せば、同じ扱いになります。どちらもない場合は、いったん3割を払い、後から申請して払い戻しを受けることになり、戻るまで数か月かかります。
対象になるのは保険が適用される医療費だけです。差額ベッド代、入院中の食事代の一部、先進医療の技術料などは対象外で、全額自己負担になります。医療保険を考えるときは、この対象外の費用がどのくらいかかるかを基準にすると判断しやすくなります。
70歳以上の場合
70歳以上で一般的な所得の人は、外来の自己負担が個人で月2万2,000円(年21万6,000円)まで、入院を含めた世帯の上限は月6万1,500円です。現役並みの所得がある人は、70歳未満と同じ区分になります。
医療費が多くかかった年は、確定申告で医療費控除を受けると税金も戻ります(確定申告が必要な人、したほうが得な人)。高額療養費で戻ったお金は、医療費控除の計算では差し引く必要があります。
ほかの読みもの
- 退職後の健康保険は任意継続と国保のどちらが安いか
- 親の介護にかかるお金 介護保険でいくらまでカバーされるか
- 相続税はいくらからかかるか 基礎控除と遺産額別の税額
- 2026年の減税で所得税はいくら減る? 年収別に2025年と比べた
- 手取りとは?額面との違いと、引かれるお金の中身
- 年収1,000万円の手取りはいくら? 家族構成と年齢で変わる実際の額
- 40歳から始まる介護保険料 いつから、いくら引かれるか
- 住民税はいつ、いくら引かれるのか 1年遅れの仕組みと退職時の注意
- 年収の壁まとめ(2026年版) 178万円・130万円と、撤廃された106万円
- iDeCoでいくら税金が安くなるか 2026年12月から上限は月6.2万円に
- ふるさと納税の上限額はなぜ人によって違うのか
- 会社員でも確定申告が必要な人、したほうが得な人
- 役職定年・60歳の再雇用で手取りはどう変わるか
- 老後に毎月いくら足りなくなるか 年金の手取りから逆算する
- 会社員の年金はどう決まるか 基礎年金と厚生年金の計算
- 退職金は一時金と年金、どちらで受け取ると得か