10万円昇給しても手取りが約1,000円しか増えない年収がある
更新日:2026-10-11 文:koyo
全年収を10万円刻みで計算すると、手取りがほとんど増えない年収帯や、昇給で手取りが減る年収帯が見つかりました。理由と、境目の手前でできる対策。
昇給すれば手取りも増える、というのは基本的には正しいのですが、増え方は一定ではありません。年収が10万円上がっても手元にはほとんど残らない年収帯や、わずかに手取りが減ってしまう年収帯もあります。2026年の税制と保険料率で、10万円刻みにすべての年収を計算して確かめました。
10万円の昇給で、手元に残るのはいくらか
東京都・協会けんぽ・賞与なしで計算。線がギザギザしているのは、社会保険料が給与の「等級」ごとに段階的に上がるためです。
年収400万円台では、10万円の昇給のうちおよそ8割以上が手元に残ります。年収が上がるにつれて税率が上がり、1,000万円前後では6〜7割、1,500万円を超えると半分強になります。ただし、全体の傾向とは別に、ところどころで大きく落ち込む年収があります。
手取りがほとんど増えない年収
| 年収の変化 | 対象 | 増える手取り | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1,140万円→1,150万円 | 夫婦(配偶者控除あり)・40歳以上 | 1,484円 | 本人の給与所得が950万円を超えて、配偶者控除が26万円から13万円に下がる |
| 1,090万円→1,100万円 | 夫婦(配偶者控除あり)・40歳以上 | 33,608円 | 給与所得が900万円を超えて、配偶者控除が38万円から26万円に下がり始める |
| 2,540万円→2,550万円 | 独身 | −8,504円 | 給与所得が2,350万円を超えて、基礎控除が62万円から48万円に下がる |
| 2,590万円→2,600万円 | 独身 | −30,192円 | 給与所得が2,400万円を超えて、基礎控除が48万円から32万円に下がる |
| 680万円→690万円 | 独身 | 36,824円 | 健康保険・厚生年金の標準報酬月額が1等級上がる |
もっとも極端なのは、配偶者を扶養している人が年収1,140万円から1,150万円に上がるケースです。10万円の昇給に対して、手取りは1,484円しか増えません。配偶者控除の額が、本人の所得に応じて段階的に縮小するしくみになっているためです。年収およそ1,195万円を超えると配偶者控除はなくなります。
年収2,500万円台では、昇給したのに手取りが減る区間もあります。給与所得が2,350万円を超えると基礎控除が段階的に縮み、2,500万円を超えるとゼロになるためです。
社会保険料の「等級」による段差
健康保険と厚生年金の保険料は、給与を区切りのよい金額にあてはめた「標準報酬月額」で決まります。月給がその区切りをわずかに超えると、保険料が1等級分まとめて上がります。年収680万円から690万円のように、10万円の昇給のうち手元に残るのが4割を切るところは、この等級の境目にあたります。
ただし、厚生年金保険料が上がると、そのぶん将来の年金額も増えます。手取りが増えないからといって、昇給が損になるわけではありません。逆に標準報酬月額が上限(65万円、年収およそ780万円)に達すると、厚生年金保険料はそれ以上増えなくなります。
2026年に生まれた新しい段差
2026年分の所得税では、給与所得が489万円以下の人は基礎控除が104万円、それを超えると67万円になりました。年収でいうとおよそ666万円が境目で、この前後では年収が増えても所得税が段差状に増えます。詳しくは2026年の減税で所得税はいくら減るかをご覧ください。
境目の手前にいる人ができること
- iDeCoの掛金は全額が所得控除になるので、給与所得の境目を超えた分を打ち消せる(iDeCoの節税額)
- 配偶者控除の境目は「給与所得」で判定するため、年収1,100万円前後の人は特に控除の影響が大きい
- 標準報酬月額は4〜6月の給与で決まるため、この時期に残業が集中すると1年間の保険料が上がる
自分の年収の前後で手取りがどう変わるかは、各年収のページ(たとえば年収1,100万円の手取り)の「前後の年収との比較」で確認できます。