相続税の申告は自分でできる? 税理士費用は遺産の0.5〜1%、1億円なら50万〜100万円
文:koyo
この記事のポイント
- 相続税の申告は自分でもできるが、土地の評価や小規模宅地等の特例があると難しくなる
- 税理士費用の目安は遺産総額の0.5〜1%前後で、遺産1億円なら50万〜100万円
- 2024事務年度の相続税の実地調査では82.3%で申告漏れなどが見つかり、1件あたりの追徴税額は約867万円
相続税の申告は自分でもできますが、土地があると難易度が上がります。税理士費用の目安、自分で申告しやすいケース、税務調査で8割以上に申告漏れが見つかる現実と無申告加算税、税理士の選び方まで。
相続税の申告は、税理士に頼まなくても自分でできます。申告書は国税庁のサイトから入手でき、2019年からはe-Taxでも提出できるようになりました。一方で、税理士に頼むと費用は遺産総額の0.5〜1%前後が目安で、遺産1億円なら50万〜100万円ほどかかります。
自分でやるか、頼むかの分かれ目は「土地があるかどうか」です。預貯金と上場株が中心なら自分で申告する人もいますが、土地の評価や特例を間違えると、税務調査で追徴されたときの負担は税理士費用をはるかに上回ります。
まず、申告が必要かどうか
申告が必要なのは、遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を超える場合です。相続人が配偶者と子2人なら48,000,000円です。注意したいのは、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合も、申告しないと特例が使えないことです。税額の目安は相続税はいくらからかかるかで確認できます。
3か月以内
相続放棄・限定承認を決める
借金が多い場合はこの期限に注意
4か月以内
亡くなった人の所得税の申告(準確定申告)
10か月以内
相続税の申告と納付
亡くなったことを知った日の翌日から10か月。遺産分割がまとまっていなくても期限は延びない
自分で申告できるケース、頼んだほうがいいケース
| 自分で申告しやすい | 税理士に頼んだほうがいい |
|---|---|
| 遺産が預貯金・上場株・投資信託だけ | 土地がある(特に形がいびつ、広い、貸している) |
| 相続人が少なく、分け方に争いがない | 小規模宅地等の特例を使いたい |
| 生前贈与がない、または少ない | 非上場の会社の株、賃貸アパートがある |
| 平日に時間をとって調べられる | 二次相続(もう一人の親が亡くなるとき)まで考えて分けたい |
土地は「路線価」をもとに評価しますが、道路への面し方や形によって細かい補正があり、ここで評価額が数百万円単位で変わります。小規模宅地等の特例は、使えるかどうかで自宅の土地の評価が80%変わるため、要件の確認は専門家に任せる人が多い部分です。
税理士費用の目安
| 遺産総額 | 税理士費用の目安(0.5〜1%) | 相続税(配偶者+子2人) |
|---|---|---|
| 5,000万円 | 25万円〜50万円 | 100,000円 |
| 8,000万円 | 40万円〜80万円 | 1,750,000円 |
| 1億円 | 50万円〜100万円 | 3,150,000円 |
| 2億円 | 100万円〜200万円 | 13,500,000円 |
相続税は法定相続分どおりに分け、配偶者の税額軽減を使った場合の家族全体の額です。遺産1億円なら相続税は3,150,000円で、税理士費用はその1.5〜3割ほどにあたります。費用は事務所ごとに自由に決められていて、土地の数や相続人の人数で加算されるのが一般的です。複数の事務所で見積もりをとると、同じ内容でも数十万円違うことがあります。
自分で申告して間違えると
相続税は、税務調査で申告漏れが見つかる割合が高い税金です。国税庁によると、2024事務年度(2024年7月〜2025年6月)の実地調査は9,512件で、そのうち82.3%で申告漏れなどが見つかり、1件あたりの追徴税額は約867万円でした。
| 申告しなかった場合(無申告加算税) | 納める税額50万円まで | 50万円超〜300万円 | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 税務調査の後に申告 | 15% | 20% | 30% |
| 調査の通知前に自分から申告 | 5% | 5% | 5% |
2024年1月以降に申告期限が来るものの割合です。これに加えて、期限から納めた日までの延滞税もかかります。申告はしたものの少なすぎた場合は過少申告加算税(原則10%)です。期限を過ぎてしまったら、調査の連絡が来る前に自分から申告するほうが負担は小さく済みます。
税理士の選び方
- 相続税の申告件数が多い事務所を選ぶ:税理士の多くは法人や個人の確定申告が中心で、相続税を年に数件しか扱わない事務所も珍しくありません。
- 見積もりの内訳を確認する:基本報酬のほかに、土地1か所ごと・相続人1人ごとの加算、遺産分割協議書の作成、相続登記の手配が別料金かどうかで総額が変わります。
- 「書面添付」に対応しているか:税理士が申告内容を確認した書面を添付すると、税務署は調査の前にまず税理士の意見を聞く仕組みになっています。
亡くなる前に準備できることは生前贈与の7年加算に、実家を相続した後の売却は相続した実家を売るときの税金にまとめています。
出典・参考にした資料
- 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備
- 国税庁「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」
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