okane life

早期退職は得か損か 割増退職金1,200万円でも定年まで勤めるほうが多い場合

更新日:2026-10-11 文:koyo

54歳・年収900万円のモデルで、割増退職金と定年までの給与の手取りを比較。再就職の有無で差はどこまで縮まるか。年金・税金・保険料の見落としも。

早期退職の募集に応じると、通常の退職金に「割増退職金」が上乗せされます。数百万円から数千万円という金額は魅力的ですが、定年まで働いた場合に受け取れたはずの給与と比べないと、本当に得かどうかは分かりません。手取りベースで比べてみます。

モデルケース

  • 54歳・年収900万円・勤続32年、配偶者を扶養
  • 定年(60歳)まで働いた場合の退職金:2,200万円(勤続38年)
  • 早期退職した場合:退職金1,800万円+割増1,200万円=3,000万円(勤続32年)

60歳までに受け取る手取りの比較

54歳から60歳までに手元に入るお金(手取り)
定年まで勤める早期退職

再就職しない

6,195万円
2,837万円

年収400万円で再就職

6,195万円
4,594万円

年収600万円で再就職

6,195万円
5,419万円

再就職は半年後から60歳までと仮定。退職金は「退職所得の受給に関する申告書」を出した場合の手取りです。

項目定年まで勤める早期退職(再就職しない)
6年間の給与の手取り4,005万円—
退職金の手取り2,189万円2,837万円
合計6,195万円2,837万円

割増退職金1,200万円がついても、6年分の給与の手取り(約4,005万円)には届きません。再就職しない場合、60歳時点で手元に入るお金は定年まで勤めた場合より約3,358万円少なくなります。年収600万円で再就職できても、差は約776万円残ります。このモデルでは、割増退職金があっても定年まで勤めたほうが手取りの合計は多くなります。

手取り以外に見落としやすいこと

年金が少し減る

54歳で厚生年金の加入をやめると、60歳まで加入した場合より老齢厚生年金が少なくなります。年収900万円(標準報酬月額は上限の65万円)で6年分なら、年金は年およそ26万円少なくなる計算です。再就職して厚生年金に入れば、その分は取り戻せます。

退職した翌年の住民税と保険料

退職した翌年は、年収900万円にもとづく住民税と、国民健康保険料(または任意継続の保険料)がかかります。収入がない状態で100万円を超える支払いが来ることもあるので、退職金から取り分けておく必要があります(退職後の健康保険)。

失業保険は会社都合扱いになることが多い

早期退職募集に応じた退職は、会社都合(特定受給資格者)として扱われることが多く、その場合は給付制限がなく、45〜59歳で加入20年以上なら最長330日の基本手当を受け取れます(失業保険の記事)。離職票の離職理由を必ず確認してください。

早期退職が得になる人

  • 割増退職金が、定年までの給与の手取りに近い金額である
  • 同じくらいの年収で再就職や独立の見込みがある
  • 役職定年や再雇用で、定年まで残っても年収が大きく下がる予定である(役職定年・再雇用の記事)

自分の条件での退職金の手取りは退職金の税金計算で、給与の手取りは手取り計算ツールで確認できます。

あわせて読みたい